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鎌ヶ谷電化センター物語

6いよいよ社長・関川宏行が誕生!「鎌ヶ谷電化センター入社」

鎌ヶ谷電化センター入社へ:満を持して!入社したが…?

高校→専門学校→東芝サ-ビスと、10年の修業期間を経て商業の知識や家電製品の修理技術などを身に付け、ついに私は鎌ヶ谷電化センターへ入社しました。両親も大変、よろこんでくれました。

ところが入社して1か月も経つと、会社の課題が少しずつ見えてきました。スタッフは「両親」「父と同学年の先輩社員」「新入社員一人」と、「私」の計5名。実は私の入社前に複数名の新人がいましたが、次々と退職。人を育てるような体制がなく、会社として上手く回っていませんでした。両親2人、自力で始めた店舗。人を指導する経験や組織を動かす知識に乏しく、新しい人が入ってきても自主性に任せて仕事を覚えてもらうスタイル。はっきり言えば、ほったらかしと言える状態でした。私は小さい会社だからこそ「フットワ-クが軽い」「人間関係が円滑」「社内コミュニケ-ションが取りやすい」というメリットを活かしたいと考えていましたが、そんな雰囲気はなく、一人ひとりの思いのまま、仕事に取り組んでいるようでした。

当時、社長である父と先輩スタッフが家電販売の活動を重点的に行い、私は修理担当。新入りのため、まだまだサポ-ト役。組織の動きや、仕事を円滑にするための話し合いの場を設ける空気を作ることができませんでした。ならば!と私は、営業マンとして売上トップを目指し、まずはお客さまづくりを着実に行おうと決意。私の強みである「家電製品の修理技術」を活かし、「技術営業」と銘打ってお客さまへコツコツとPRを開始しました。そして努力を重ねた結果、入社7年目にして売上トップになり、ありがたいことにお店のファンもどんどん増えていきました。しかし、新入社員はなかなかついて来ず、辞めてしまうことが続く日々。上手くフォローできず、新人さんには大変悪いことをしました。そして右肩上がりの売上は、人手不足もあり限界に達し、成長は頭打ちに。悶々とした気持ちでその後、数年を過ごしました。

社長へ就任:自分がいかに無力かを知る!

鎌ヶ谷電化センターへ入社して13年が経ち、38歳を迎えた年。私は過去を振り返りながら未来を見据えたとき、このままではいけないという焦りを感じました。父も、同じことを思っていたようです。

そんなある日、東芝販売会社の担当部長が来店され「地域家電店321戦略研修」というお話をいただきました。研修の内容は、3年で売上を2倍に。地域一番店づくりのための、ノウハウ取得実戦研修です。参加対象店になる4つの条件は、「お店を研修の場にする」「参加は全員で」「知行合一を心掛ける」「石の上にも3年の精神を持つ」です。私は意を決し、研修戦略へ取り組むことにしました。担当部長は売上拡大の営業戦略理論や実務に精通する、専任の講師を紹介してくださいました。理論と実務を通した研修は、目から鱗が落ちることばかりで、社員みんなで学び実行に移しました。その成果は3年間で現れ、平成22年の決算期では売上が2倍の「1億円」まで達することができました。

父は「みんなの力の結晶だ」と感激すると同時に、私の仕事をはじめて認めてくれました。間もなくして父は、私に鎌ヶ谷電化センターの2代目社長を継承してくれました。父に認められ時は正直、本当にうれしかったです。反面、「経営者として、社員とその家族を守り、会社を成長させつづける重い責任に堪えられるか」という不安もありました。

私は、ひとりで悩みを抱え込まず、率直に講師の先生に相談しました。先生は、「創業者と2代目の経営には違いがある」と教えてくれました。「創業者は『創生のリ-ダシップ』、2代目は『守勢のリ-ダシップ』です。『守勢の経営』とは、現状の売上高を維持するため、店舗開発に投資すること。売上を維持する営業体制はできていますが、今はまだ売上を維持する店舗ではないですね。『営業体制』と『店舗づくり』の両立が必要不可欠です」とおっしゃいました。しかし、店舗投資には多額の資金が必要となるため自然とその話からは遠ざかり、気づけば数年が経っていました。売上は減少しつづけ、以前の売上に戻りつつありました。私は悩みに悩んだ結果、父にはじめて店舗投資について相談しました。

父は、昭和53年の秋、不意の出火で店舗が全焼した時のことを話しだしました。一度あきらめかけたが、何くそっ!という気持ちで翌年には新店舗をオ-プンしたことを熱っぽく私に語り始めました。「あれから40年以上も経つ。10年に1度は起きると言われる経済危機は、新しい産業を創出するが、衰退産業も排出する。消費者も10年を目途に生活スタイルが大きく変化する。それを考えると、うちも新店舗の開発に向けて投資をするタイミングなのかもしれない…。社長、そう思いませんか!」長年、経営を行ってきた父の卓識に、経験の差を感じました。この熱い言葉に、私は背中を押されました。

私は「悩む」から「考える」へ切り替え、再度講師の先生に相談することにしました。先生は「業績が下がっても心配いらないよ。大切なことは、企業成長戦略の選択の間違いに気づき、ありたい成長戦略を再度挑戦することでしょう。」と言われました。